2011年11月13日日曜日

農業従事者こそTPP参加に賛成するべき。日本の田園風景はTPPに参加してこそ守られる。

2011/11/11、野田首相はついに環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明しました。

TPPの交渉参加については、TPP参加賛成派の経団連と反対派のJA(農協)の議論が平行線に終わったり、野田首相がTPP交渉への参加表明を一日遅らせてみたり、日本が本当に交渉のテーブルに着くのか不安でしたが、現段階では交渉参加を表明した野田首相を評価したいと思います。

さて、TPP参加反対派の親分といえばもちろんJAですが、筆者は彼らが本当に日本全体のことを考えてTPP参加に反対しているのか甚だ疑問です。というのも、TPPに参加することによって自動車業界や電気業界はもちろんのこと、農業界にも大きなメリットがあると考えられるからです。


JAの主張としては、「海外から輸入する農産物の関税を撤廃すれば、国産より安い米、野菜、果実等が市場に流通することになる。そうなれば日本の農業は壊滅的な打撃を受ける。われわれは日本の美しい田園風景を守らなければならない。」そうです。

果たして本当にそうでしょうか。TPPに参加すると日本から田園風景が無くなってしまうのうでしょうか。

確かに輸入品の関税が撤廃されれば、安い輸入品と価格競争を迫られることは事実です。そして、広大な土地が確保しにくい日本では外国と比べてどうしても生産性が落ちてしまうのも事実です。
だからといって日本の農産物が売れなくなってしまうことは無く、むしろやる気のある農家にとってはTPPに参加によって大いなる可能性が生まれるのです。

≪一部の農産物は鮮度が命≫
まず、工業製品とは違い農産物には鮮度が要求されます。特に苺などのくさり易い農産物は収穫からいかに早く店頭に並べられるかが命です。輸入品は収穫から店頭に並ぶまでに最低でも数日はかかりますので、朝に収穫してその日中に店頭に並べることができる国産が圧倒的に有利なのです。

≪米は単なる農産物ではなく聖なる食べ物≫
次に米について考えてみましょう。当たり前ですが日本人は日本米が大好きです。だいぶ過去の話になりますが、天候不順により米が不作で国産のものだけでは足りない年がありました。そのとき日本政府は緊急措置としてタイなどから米の輸入の行ったのですが、実際はというと日本人の口に合わないタイ米はあまり人気が出ず、価格の高い日本米をみながわれ先にと買い漁ったのです。このように、「米」は日本人にとっては単なる農産物を越えて、ある意味神聖なものとみなされていますので、いきなり価格の安い輸入米が店頭に並んだところで、日本米が売れなくなるというのは非常に考えにくいのです。

≪田園風景はTPPに参加しなくても減る運命にある≫
JAによると、TPP参加により日本の田園風景が失われるとのことですが、TPPに参加しなくても田園風景は減っていく運命にあるのです。減反政策で米を作るな(田園風景を減らせ)と言っているのはどこに国でしょうか?徐々に人口が減りつつあり、それに伴い米の消費量が落ちていくと予想されるのはどこに国でしょうか?このままではTPPに参加しなくても日本の田園風景は間違い無く減っていくのです。

≪TPP参加こそ日本の田園風景を守る道≫
このままでは間違いなく減っていく田園風景ですが、TPPに参加することで日本の美しい田園風景を守れる可能性があります。
というのも、輸入品の関税が撤廃されることばかりが注目されていますが、逆に考えれば、日本から海外へ輸出する際にも関税がかからないのです。今でも日本の米は海外の富裕層に人気があります。生産性で勝てなくても、高い技術と手間ひまをかけて思いっきり高品質のお米を生産して海外の富裕層向けに輸出すれば、やる気のある農家にとっては今より収入を増やすチャンスなのです。そうなれば結果的に日本の田園風景は守られます。

≪農業技術に自信があれば、外国で生産して日本に輸出すれば良い≫
やる気があり高い技術を持つ農家は海外に広大な土地を借りたりして農業を行い、日本に輸出することも検討すべきです。日本の高い技術と海外の広大な土地が組み合わせればビジネス的な可能性は無限大ではないでしょうか。

≪TPP参加で困るのはJAの既得権を握っている人たちだけ≫
ここまで色々と述べてきたように、TPP参加により農業が壊滅的な打撃を受けるというのは全くのウソで、輸出する際の関税撤廃により市場が海外にまで広がることで、やる気のある農家にとってはむしろチャンスなのです。ではTPP参加で困るのは誰かと言うと、ずばりJA自身に他なりません。なぜなら、海外から農産物が入ってきたり、国産の農産物が海外に輸出されるということは、JAを介さない商品の割合がドカンと増えることが予想されるからです。極端な話、JAに卸して売ってもらっていた農家はそれを止めて、楽天やアマゾンを通して売れば世界を相手に販売できるようになるでしょう。国内でも「道の駅」等にある直売所で売ればわざわざJAを介さなくても良いですよね。そうなれば、JAの存在意義って・・・・・。
JAはあたかも日本の農業全体のことを考えてTPP参加に反対しているように見せかけていますが、本当に困るのは既得権が無くなってしまう自分たちなのではないでしょうか。
ほんの一部の既得権者のために日本全体にとってのメリットが損なわれるなんことがあっていいわけがありません。

日本はもちろんのこと、多くの国がTPPに参加することで、どこの国で作られたかは関係なく、本当に良いものが世界中で平等に評価される世の中になることを切に願っています。それが、生産者、消費者双方にとって最高のことですから。

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